東栄連合自治会主催の防犯セミナーが、藤池公民館で開催されました。講師は㈱危機管理研究所代表で、危機管理アドバイザーの国崎信江さん。NHKの番組などでも、防犯・防災について活躍されている方です。今日は「あなたは犯罪から自分・家族を守れる大人ですか?」をテーマに講演をしていただきました。60人以上の地域の人々が参加され(机が足りず、後の方に椅子を追加で並べたほど)、関心の高さを感じました。
最初に最近の犯罪の傾向について話されました。増加しているのは、振り込め詐欺を含めた特殊詐欺、強制わいせつや公然わいせつなどの風俗犯、そしてインターネットを利用した詐欺や児童ポルノなどのサイバー犯罪なのだそうです。また犯罪の傾向としては、ピッキングやサムターン回しによる侵入窃盗は減ったものの、無施錠による侵入が相変わらず多いこと、超高齢化社会を反映して、65歳以上の高齢者による万引きが少年のそれを上回ったことなど、近年の社会を反映しているそうです。
侵入窃盗では窓からが6割、戸口からが3割で、家人が1階にいても2階に侵入して窃盗を働くことがあるそうです。なにより侵入経路を経つことが大切で、塀を低くして見通しをよくする、カーブミラーを設置して死角をなくす、ドアや窓をツーロックにしたり、防犯格子を付けたりする、センサーライトをつける、2階に上がるための足場になるような物を家の周囲に置かないことが必要だそうです。また、窃盗グループの下見の際のマーキングに注意し、近所の人が不審者に声をかけることも効果的なのだとか。
「ひったくり」や「すり」については、車道側にバッグを持たない、ファスナーのない簡単に開くバッグは危ない、といったお話でした。20代の女性が無防備で被害に遭う例が多いとのことでした。また車上狙いに関しては、とにかく外から見えるところにバックや上着を置かないことが重要だそうです。金目のものが置かれていなくても、ドアをこじ開けられると、修理代で大損害という面もあるということでした。
犯罪を防ぐには、観察力を高めることが肝要で、グラフィックメモリー(いつもと違う何かを見つける力)を高めることが必要で、また、人の表情や持ち物、仕草などに注意を払わなければなりません。そうすれば「突然襲われた」は防げるのです。人通りの多い道を選び、速足でさっそうと歩くようにし、逆にケータイや音楽に気を取られていると狙われやすいそうです。さらに、自転車は簡単に倒されるので、特に子供が「自転車だから大丈夫」と考えるのはとても危ないとのことでした。すこしでも「危ないな」「怪しいな」と思ったら引き返すことが最良の対策だそうです。
トイレで子どもが性被害に遭うことについては、具体的な例を引いて話されました。犯罪が起きているのは、公園などの屋外の公衆トイレではなく、スーパーやファミリーレストラン、カラオケボックスなどの屋内のトイレが多いのだそうです。例えば、小児性愛者はファミレスのトイレに近い所に席を取り、小さい子供が一人でトイレに入っていくのを狙っていて、女の子を男性用トイレに連れ込んでしまう。すると多少の声を上げても、店内が騒がしいとかき消されてしまい気づかれないのだそうです。また、男の子だからといって安心できず、近年は性的嗜好の多様化で、倒錯した犯罪も多く、男の子も被害者になることが少なくないのだそうです。
そのほか、不審者を見付けたときの相談窓口(#9110への電話)や、不審者への対応のポイント(1人でなく、3人で取り囲む)、防衛体制が崩れたら「警察がきたぞ」と叫ぶということも教えていただきました。
さらに、川崎の事件のように、子どもが少年に襲われる犯罪も増えていることに触れられました。子どもを犯罪の加害者にしないためには、子どもに生きる力(自分の命・からだを大切にできる、自分の命・からだをしっかりと守れる、自分が生きている価値を見いだせる)を身につけさせ、相談できる場所を作り、子どもが「生まれてきて良かった」を思えるようにさせること、つまり「命を大切にする心を育む」ことが大切なのです。
最後に、東日本大震災における被災地、特に避難所で生活する中での窃盗や性犯罪についても述べられました。
講演の後には、自治会の役員さんや民生児童委員さんらが、熱心に質問をしていらっしゃいました。「子どもが犯罪に会うのは、学校への侵入犯によることよりも、地域でのことが圧倒的に多いのです」 国崎さんが最後に言われたことがとても印象的でした。講師の先生はもちろん、準備をしてくださった連合自治会の皆さん、本当にありがとうございました。
【挨拶をする連合自治会長さん】 【司会の防犯担当役員さん】 .
【会場を埋めた参加者の皆さん】
【分かり易く丁寧に話される講師の国崎さん】
【次第に熱がこもって、身振り手振りが】
【追加の椅子席の人がこんなにたくさん】 【突然の指名!感想とお礼を述べる校長先生】