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忠犬ハチ公物語

 大正の頃のお話です。ハチは秋田犬でした。主人の上野先生は、大学の先生で、東京の渋谷に住んでいました。上の先生はハチを大変かわいがっていました。上の先生は毎朝渋谷駅から、電車に乗って出かけます。ハチはそんな上野先生を毎朝駅まで「いってらっしゃい」と見送りにいっていました。そして渋谷駅に上野先生が帰ってくる頃になると、今度はお迎えにいっていました。ところが、ハチの大好きな上野先生が病気で亡くなってしまいました。けれどもハチには、そのことがわかりません。それからも毎日のように渋谷駅で主人を待ち続けました。そして、十年たった昭和十年の今日3月8日にハチは死んだのです。

 主人を待ち続けたハチは、「忠犬ハチ公」とよばれ、渋谷駅で銅像になりました。そして今でも上野先生を待っているのです。