厳しかった冬の寒さも和らぎ、校庭の桜の蕾も少しずつ膨らみ始めました。教室の窓に差し込む光にも暖かい春の訪れを感じます。本日は、私たち卒業生のために、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、お忙しい中ご出席くださいましたご来賓の方々、先生方、保護者の皆様、在校生の皆さんに、卒業生一同、心より御礼申し上げます。
新型コロナウィルスの感染が拡大し、中学校という新しい環境に大きな不安と緊張を抱きながら、私たちは旭中学校に入学しました。しかし、すぐに、休校、分散登校となってしまい、新しい仲間と顔を合わせることもできないまま、私たちの3年間は始まりました。
何もかもが初めてだった1年生。秋の校外学習では、各班で行程表を作り、尾張旭市内の緑豊かな公園や昔ながらの場所を巡って、自然や歴史と触れ合うことの楽しさを学びました。また、仲間と共同してミッションに取り組み、絆をより深めることができました。
上級生としての自覚が芽生え、責任を持って行動するよう心がけた2年生。身は波長の雄大な自然の中で野外活動を行いました。実行委員が一から企画し、室内運動会やナイトタイムを大いに盛り上げてくれました。暗闇の中でのキャンドルや光の舞は、息を飲むほど幻想的でした。また、3日間生活を共にする中でルールや時間を守ること、周りを見て考えて動くことの大切さを学びました。
残された学校生活もわずかとなり、何気ない日常が愛おしく感じられた3年生。最高学年となり、進路選択も迫ってきて、様々なプレッシャーがかかるようになりました。思い通りにいかない焦りや不安に駆られることもありましたが、楽しむ姿勢を決して忘れず、何事にも全力で取り組みました。6月、貴重な体験をし、学びを深めた三重県への修学旅行。おかげ横丁では新鮮なフルーツジュースを、「飲んだり、鳥羽水族館では、友達とおそろいのキーホルダーを買ったりしました。また、ナガシマスパーランドでは、ジェットコースターに乗って叫んだり…それぞれが友達と一緒に3日間を満喫しました。移動のバスの中でも、疲れて寝てしまった人を起こさないように、小さな声でおしゃべりをして笑い合ったことも、昨日のことのように思い出されます。
そして10月、体育大会や文化発表会。練習の過程で、意見の対立などクラスがなかなかまとまらないこともありました。それでも試行錯誤しながら、目標に向かって、話し合うを続けるうちに、一人一人の中に責任感や明確な意志が生まれ、クラスが団結していくのを感じました。仲間と協力して何かを成し遂げる喜びを味わうことができました。
それから、仲間と喜びや悔しさなど多くの感情を共有した部活動。仲間とぶつかりながらも切磋琢磨して練習に励みました。最後の夏の大会では思うような結果が出せず、悔しい思いをしたこともありました。それでも、最後まで頑張ることができたのは、3年間ともに支え合った心強い仲間がいたからです。ここで作った仲間たちとの思い出は、きっと、これからも私たちを支えてくれると思います。
私たちはこの3年間、新型コロナウィルスによって、たくさんにものを奪われました。予定されていた学校業や体験活動は、ほとんどが「延期」、「縮小」、「変更」など、例年にはないことばかりでした。また、給食の時間も心が弾むような会話はできず、それぞれが黙食をするという、本当に寂しいものでした。制限の多い学校生活の中で「当たり前」がどれだけ幸せなことかを実感しながら、私たちは、成長してくることができました。それは、たくさんの方々の支えがあったからです。
いつも、そばで寄り添ってくださった先生方。私たちが進路や人間関係で悩んでいるとき、親身になって相談に乗ってくださいました。先生方のあたたかい言葉に何度も救われました。また、時には厳しく叱り、私たちを正しい道へと引き戻してくださいました。決して私たちを一人にせず、陰で見守ってくださった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
在校生のみなさん。私たちを慕って、頼ってくれてありがとうございました。皆さんのおかげで先輩としての自覚をもつことができました。これkらの旭中学校を担っていくのは皆さんです。3年間はあっという間に過ぎます。この旭中の伝統、良さを受け継ぎ、今いる仲間と素敵な思い出をたくさん作ってください。
3年生の仲間たち。くだらないことではしゃいだり、時には、喧嘩をして気まずくなったりすることもありましたね。一緒に泣いたり、笑ったりしたことは、今となってはその全てがかけがえのない大切な宝物です。それも今日で最後だと思うと、本当に寂しい気持ちでいっぱいです。旭中で過ごした日々を忘れずに、それぞれが自分の輝く未来を切り開いていきましょう。3年間本当にありがとう。
最後に、一番身近なところで支えてくれた家族のみんな。定期テストや学校行事など、私が緊張している日には、「頑張って」や「自分を信じて」という力強い言葉をかけて背中を押してくれました。難しい年ごろで素直になれず、冷たい態度をとってしまうこともありましたが、それでも突き放さず、最後まで話を聞こうとしてくれました。どんなときでも私のことを第一に考え、ここまで育ててきてくれたこと、ずっと言えませんでしたが、心の中では分かっていました。本当にありがとう。そして、これからもたくましく成長していく私の姿を一番近くで見ていてください。
旭中学校を卒業し、私たちはそれぞれ別々の道を歩み始めます。正直、まだ別れたくない気持ちもあります。もっと仲間や先生方と、いつもみたいに他愛もないことで笑い合っていたいです。でも、ついに今、旅立ちの日を迎えました。この先みえる景色はそれぞれ違っていても、この旭中で3年間、徹底してきた、「当たり前のことを当たり前にやる」を心に留め、邁進していきたいと思います。
最後になりますが、旭中学校がこれからも素晴らしい歴史を刻んでゆかれますことを祈念して、答辞とさせていただきます。
令和5年3月7日 卒業生代表