近年、ICカードが急速に普及してきています。『ICカード』と言っても、ピンとこない人もいるかもしれません。例を挙げると、SuicaやPASMOやmanaka、ETCカードやEdy、iD、QUICPayなどがこれにあたります。
では、ICカードとは、一体何なのでしょうか?一言で言えば、『ICチップが埋め込まれたプラスチックのカード』です。ICチップは、小さな小さなコンピュータです。私たちが普段利用しているパソコンと同じ、CPU(中央演算処理装置)やメモリ(記憶装置)を搭載しています。
今まで日本で多く用いられてきたカードは、磁気カード(テレホンカード、旧来のクレジットカードなど)と呼ばれるもので、磁気情報を用いて残高などの管理が行われてきました。しかし、磁気カードは、偽造・改ざん・スキミングなどの犯罪が行われやすく、近年問題となっていました。
特徴1 セキュリティ機能
そこでセキュリティ性に優れたICカードが注目されるようになったのです。それは、ICチップ自体に偽造やスキミングを防ぐ機能がついている点です。ICチップは不正にアクセスされると、自ら保存しているデータを壊して、読み取られないようにする機能がついています。また、保存されているデータ、リーダー/ライターとの通信時のデータともに暗号化処理されており、まず不正に読み取られる心配はありません。ICチップの製造には専門的な知識や特殊な設備が必要で、偽造はとても困難です。万一偽造できたとしても採算が合わないようになっています。さらにカード一枚一枚が固有の識別番号を持つこと、暗証番号で本人確認ができるような機能もつけられることもセキュリティに一役かっています。よりハイレベルなセキュリティ機能として、バイオメトリックス(生体認証)も注目されています。これは指紋や顔写真、目の虹彩、手のひらの静脈パターンなどで本人確認をする仕組みです。これらセキュリティの優れた点は、いずれも大量の情報を記憶できるICカードならではの特徴だと言えます。
特徴2 情報量の多さ
さらに、ICカードは、情報量の面でも磁気カードより優れています。磁気カードが72文字(72B)の情報しか記録できないのに対し、ICカードは、その約400倍、漢字も含め、だいたい新聞一枚分である12,000文字(32KB)もの情報を記録できます。(32KBは最も一般的な容量で、実際には色々な容量のICカードがあります)
特徴3 「かざすだけ」という手軽さ
また、ICカードの中でも、後で説明する非接触型ICカードは、Suicaやmanakaでお馴染みのように、わざわざ財布から取り出さなくてもリーダー/ライターに「かざすだけ」で簡単に利用できます。これは大変使い勝手がいいですね。
特徴4 ポータブル機能
このセキュリティの高さ・使い勝手の良さから、ICカードは、全く新しい『持ち運びのできるカード型電子マネー』という分野を切り拓くことにも成功しました。ICカードは、数多くの魅力と無限の可能性を秘めた魔法の道具です。