福島第一原子力発電所において、原発事故が起きて以来、「放射線」「放射能」「放射性物質」と、似たような言葉が出てきて、違いに疑問を感じている人も多いでしょう。
まず、「放射線」についてです。病院などで、胸やけがをしたところのレントゲン写真を撮るときに、エックス線が使われています。エックス線は、1895年に世界で初めて発見された人工的な放射線です。ドイツのレントゲン博士が見つけました。エックス線写真をレントゲンと呼ぶのはこのためです。
カンマ線と呼ばれる放射線もあります。エックス線もガンマ線も、実は、光の仲間です。ただ、波長が短すぎて私たちの目には見えません。 アルファ線やベータ線、中性子線と呼ばれる放射線もあります。これらは、光ではなく、とても小さな粒子が飛んでいるのです。アルファ線は陽子と中性子、ベータ線は高速で飛ぶ電子です。空から降り注ぐ宇宙線も放射線の一種で、その正体は主に陽子です。
次に、放射性物質ですが、これは、読んで字のごとしで、放射線を出す物質のことです。自然界には、放射線を出す元素と出さない元素があります。原発の燃料には放射線を出すウランが必要です。最近よく聞くヨウ素131やセシウム137は、原子炉の中でできる放射性物質です。
では、放射能は何かというと、放射線を出す性質のことです。放射性物質を電球に例えると、電球のワット数が放射能の強さ、光の明るさが放射線の強さに相当します。放射能が強くても、そこから遠く離れれば放射線は弱くなります。