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式 辞
「冬来たりなば、春遠からじ」
どんな厳しい冬であろうと、心地よい春は、必ずやってくるよ、という温かい励ましの言葉です。突然の臨時休校でスタートした今年は、特に、心により響きます。
そんな待ちに待った春三月、白鳳自慢の三本桜も、日に日につぼみを膨らませ、あとは、開花を待つばかりとなりました。こうした、よき日に、第四十九回卒業証書授与式を迎えることができました。
百六名の卒業生のために、多くの保護者の皆様のご臨席をいただきましたことに、先ずもって、心より深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
今、六年生のみなさんに、卒業生として、卒業証書をお渡ししました。卒業生のみなさん、ご卒業、おめでとうございます。
さて、今年の白鳳小のテーマを覚えていますか。「考える子」です。なぜ、「考える子」になったのか。その理由をお話します。
ちょうど一年前、まだ、みなさんが五年生だった三月、突然の休校となりました。その直前、五年生であったみなさんは、書写の時間、何というお手本に取り組んでいたか、思い出してください。そう、「考える子」という毛筆です。そんなみなさんの力強い作品を見ながら、そうだ!「考える子」にしようと、心に決めました。そして、思いがけない四月からの再休業…五月末からの再登校の折、みなさんに、今年のテーマ「考える子」を始業式のお話として示しました。
コロナ禍の学校生活は、とても大変でしたね。でも、一つ一つ、先生方が示した新しい生活様式について、みなさんは、みなさんなりに、よく考えて、実行してくれました。その姿は、とても頼もしく思いました。最上級生のみなさんが、よく考え、実行すれば、自然と下級生たちは、みなさんに付いていきます。日本中、いや世界中が大騒ぎとなった令和二年度でしたが、白鳳小のみなさんが、いつもと変わらず、生き生きとした笑顔で過ごすことができたのは、最上級生である六年生のみなさんが、「考える子」をしっかりと実行してくれた結果だと思います。本当に、ありがとうございました。
ところで、学校だより「白鳳点描」の二月号でも、「考える子」に焦点を当てた言葉を掲載しましたが、覚えていますか。パスカルの「人間は、考える葦である」という一節です。人間は、川面に生える一本の葦のように心細い存在だが、考えるという一点に於いて、偉大な存在になり得るという、とても思慮深い名言です。
みなさん、一人一人では、か弱い、不安な存在でしかないかもしれませんが、一人一人が知恵を出し合い、考えることで、人類は、一歩一歩、逞しく進歩してきました。そして、どうしたらいいかと考える時、その根源には、勇気が生まれるはずです。さらに、それを実現させるには、こつこつと根気よく努力することが不可欠です。もちろん、勇気を出して、根気よく取り組むためには、心身ともに元気でなくてはなりません。
もう気づきましたか。「元気」「根気」「勇気」、この三つの言葉こそ、みなさんの母校となる白鳳小学校の校訓です。
「元気に、根気よく、勇気をだして」
卒業に際し、みなさんに最後に贈る言葉は、この校訓です。何かにぶつかった時、何かを超えなくてはならない時、そして、挫けそうになった時、みなさんは、じっくりと「考える人」となるはずです。そして、じっくり考えながら、みなさんがこの六年間を過ごした白鳳小学校の校訓をいつも思い浮かべてください。きっと、元気と根気、そして、勇気が湧いてくるはずです。そして、友だちの顔、先生たちの姿、六年間支えてくださったご家族の愛情、思い出詰まった母校の教室をいつまでも忘れないでほしいと思います。
そして、最後に、もう一つ忘れてならないことがあります。それは、皆さんがこうして立派に成長するまでには、地域の方々や先生方からの温かい見まもりや励まし、そして何よりも家族の方々の献身的な支えがあったことです。いつも近くで支えてくれている方々がいることを忘れず、感謝の気持ちを持ち続けてください。そして、何かの機会に、まわりの人たちへ感謝の気持ちを態度で表すことができるといいと思います。たとえ直接お世話になった人でなくとも、困った人がいたら素直に助けてあげる、そんな心の広い、大きな人になってください。
さて、保護者の皆様におかれましては、本日のお子様のご卒業おめでとうございます。お子様の晴れの姿を前にして感慨もひとしおだと推察いたします。また、この六年間にわたり、本校の教育の推進に対しまして、ご支援とご協力をいただき誠にありがとうございました。職員一同心から感謝し、お礼申し上げます。
終わりに卒業生の皆さんの限りない前途をお祝いするとともに、ご臨席の皆様のご健勝をご祈念申し上げまして、式辞といたします。
令和三年三月十九日
尾張旭市立白鳳小学校長 加藤 奈保樹