感染症の拡大による影響から、青少年健全育成推進大会が中止となったことから、「僕の意見 私の考え」の作文の発表の機会がなくなってしまいました。そこで、ここHP上でその作文を紹介します。3年生男子の「僕の意見 私の考え」です。
空気を動かす力
僕は中学3年生になった。そして昨年まで部活やクラブチームで僕たちをどんな状況でも明るくかっこよく率いてくださっていた先輩方が卒業した。そして僕は先輩となった。僕はとても楽しみであり、不安でもあった。
2年生の時のことを振り返る。僕は練習でずっと先輩の後ろについて走っていた。練習メニューの順番や方法をすべて先輩任せにしていた。自分では何も考えず、先輩の指示で動いていた。
先輩の言葉で今も忘れられない言葉がある。それは昨年の冬に学校の駅伝部で先輩方と愛日大会で優勝し、県大会に行った時の事だ。県大会当日、現地に着くとかっこいいジャージでおそろいの強そうなチームが数多くいた。僕たちはその現地の空気にのみこまれそうになっていた。頭の中で不安ばかり浮かぶ。僕たちは緊張した張りつめた空気だった。会話も少なく、各自が黙々とアップしていた。そしてレースが始まるスタート地点に僕が行こうとしていた時、先輩が「円陣組もう」と言った。そして肩をみんなで組んだ。先輩が一言明るく「俺たちは強い」と言った。僕はその言葉を聞いてなぜか安心した。とても心強かった。そしてその円陣の後はみんな笑顔になり、「やったるぞ」「頑張れよ」などのプラスの言葉が僕たちのテントの中に飛び交った。
先輩の一言でチームの空気が周りの空気よりもやる気に満ちた。僕は、先輩には空気をプラスに動かす力があることに気づいた。あそこで円陣を組んでいなかったら僕たちはマイナスの空気でスタートしていただろう。
しかし僕は一区でやらかしてしまった。チームはすごく後ろでのスタートとなってしまった。「すみません」僕は後ろの区間の先輩や同級生に謝った。先輩方は少しも怒らず、また笑顔で明るく「あとは任せろ。よくやったぞ」などと声をかけてくれた。先輩方の一つ一つの言葉に僕は心を動かされた。僕はすごく後悔した。なぜ僕は今から走る先輩や同級生に「すみません」というマイナスな声かけをしてしまったのかを。謝った後に先輩や同級生に、なぜプラスの声かけができなかったのかを。のちのち考えれば、その時僕は悔しさでいっぱいで、自分の事しか考えていなかったのだ。今はレースで失敗した事よりも、マイナスの発言をしてしまった事の方が悔しい。僕は、先輩との人間力の差が大きいことを2年で学んだ。その後、僕はどのようにしたら先輩のようになれるのかを考えた。そして、いろいろ考えすぎて、自分を見失っていた時期もあった。
そして、3年生になった。先輩が卒業して、僕は今まで先輩に任せきりしていたせいで、一人では何もできない人間だということに気づかされた。また、先輩との差が開いた。先輩に追いつくために必要なことはわかっている。それはどんな状況でもみんなの心を読み取り、笑顔で明るくプラス発言をして空気を動かす力をつけることだ。僕もみんなを勇気づけられる先輩になる。今後も先輩に近づくために努力する。