「 式 辞 」
陽ざしも徐々に明るさを増し、春の訪れが感じられる本日、中学校三年間の集大成として、皆さん一人一人の努力が実を結ぶ瞬間となりました。
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
今日のよき日に尾張旭市副市長秋田 誠(あきた まこと)様、尾張旭市教育委員鈴木達人(すずき たつひと)様を始め、市議会、小学校、高等学校の校長先生方、地域の方々、PTA役員など多くの来賓の皆様にご臨席を賜り、「東中学校 第三十八回卒業証書授与式」を挙行することができますこと、高い席からではございますが、心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
また、これまで陰になり日向になり、深い愛情を持って育ててこられた、ご家族皆様のお気持ちは、いかがでありましょうか。様々な困難を乗り越えて、子どもたちは、こんなに立派に成長しました。この輝かしい姿を、皆様とともに喜びたいと思います。
さて、皆さんとの出会いから、一年がたとうとしています。わずか一年ではありますが、皆さんが、日々、よりよく成長していく姿を間近で感じながら過ごしてきた一年でした。毎日、校門や廊下などで、さわやかな挨拶を投げかけてくれましたね。また、学校行事や生徒会活動、部活動で、皆さんは、ひたむきな頑張りの姿を見せてくれました。
一学期には、大阪での分散学習を含めた、長い時間をかけて準備した修学旅行、そして、毎日の苦しい練習を耐え抜き、大きな成果を本校にもたらしてくれた部活動などで、一人一人の協力と責任の大切さを学びましたね。
さらに、二学期に行われた東中のスクールフェスティバルでの皆さんの姿は目を見張るものであり、最高学年としてのリーダーシップが光っていました。クラスの団結力と最後まで頑張り通す強い思いが、文化祭、体育祭、合唱祭の各場面において、すばらしい姿として私の目に映りました。そして、その姿は、今週月曜日に実施された「三年生を送る会」で送る側の思いをしっかり受け止め、全力で応えた三年生の全員合唱に繋がりました。あのときの歌声は、聴いている人の心を揺さぶり、体育館全体に響き渡るすばらしいものでした。そんな素敵な姿を見せてくれた皆さんを代表して、先ほど、池田 凌(いけだ りよう)さんに卒業証書を渡しました。これは、中学校のみならず九年間の義務教育を修了し、自らの行動について、自分で責任をとらなければならない、「出発点に立った」ということなのです。
そこで、新たな出発にあたり、校長からのメッセージを、三つ、贈ります。
第一に、「共生」(共に生きる)
ということについてお話しします。
「共生」とは「共に助け合って生きていく」という意味であり、これからの時代を生きていくうえで、忘れてはならない言葉です。
二学期の終業式に、「人」そして「人間」という字のお話をしました。人は互いに寄り添いながら支え合い、多くの人の間で、関わり合いながら生きています。
人は決して一人では生きていけません。
でも、ある一時点を取れば、自らの努力や頑張りの力で成果を出していることは事実です。皆さん自身も、今日の日を迎えるにあたり、学習面や運動面、芸術面などにおいて、自力でそうしてきたところもあったのではないでしょうか。しかし、その時点に至るまでには、多くの方々の支えや助けがあったと思います。それは家族であったり友達であったり、先生方であったり、地域の方々であったりします。
間違っても、信頼を裏切るような行為は絶対にあってはなりません。
「自分一人だけがよければよい」という事ではなく「自分とともに、他の人もよりよく生きたいと願っている」ということなのです。
ここにいる皆さん一人一人が、この地球上で、ただ一人のかけがえのない大切な存在であり、今、あなたがこの場にいること、そのこと自体が素敵なことである、ということを忘れないでください。
第二に、「常に感謝の気持ちを忘れない」ということです。
先ほどの「共生」の話にも通じる事ですが、今日、卒業証書を手にすることができたのは、一人一人の努力があったことはもちろんです。しかし、皆さんの周りには、多くの人たちの支援と愛情があったことを、決して忘れてはなりません。だから、
「今日という日は、多くの人々の心に感謝してほしい」「これまでの自分を振り返る日にしてほしい」と心から願います。
これからの人生の中で、皆さんはさらに、多くの人々と出会い、様々な恩恵を受けて、成長し、生き続けていくことになります。
自らの努力とともに、それを支え、励ましてくれる、多くの人々の存在を忘れることなく、常に共生と感謝の心を持ち続けてください。
第三として、「回り道を恐れない」ということです。
皆さんの将来は、まだまだ未知数ですが、追い風を受け、順風満帆の時ばかりではないと思います。時には逆風でまっすぐ進めず、回り道をしなければならない時も出てきます。でも、回り道を恐れないでください。回り道から逃げない勇気と強い意志を持ってほしいのです。いい意味での頑固さを持ちながら、回り道になろうが、そのときの自分の最善を尽くすことの大切さを忘れないでいてほしい。回り道をすることにより、普通では経験ができないことを手に入れ、それは将来において、必ず自分の力になります。
どうか心身の健康に十分留意して、大きく飛躍してください。
終わりにあたり、本日、卒業生を祝福し、ご列席いただきました来賓の方々、そして、保護者の皆様に、重ねて御礼を申し上げます。今日まで本校の教育活動に寄せられました、ご理解とご協力に対して、教職員を代表し、厚く御礼申し上げます。
卒業していく生徒たちは、まだまだ、中学校では果たし得なかった発達課題をそれぞれにもっています。皆様方からの、より一層の温かい見守りとお力添えをお願いいたします。
新しい人生の門出にあたり、卒業生の今後の健やかな成長を祈って式辞といたします。
平成二十六年三月六日
尾張旭市立東中学校長 山内 賢一