「世界名作劇場展」を見ました。「世界名作劇場」というのは、日曜日の夜放送されていた世界の名作を原作にしたアニメです。「フランダースの犬」から「こんにちはアン」まで26作あります。制作会社が違うので正式には入れませんが、内容的には「アルプスの少女ハイジ」も入れてよいかと思います。それらの作品のもとになったキャラクターシートやレイアウト、セル画、背景などが展示され、昔見たことを思い出すことができました。保護者の皆さんも子どもの頃見たことがある方が多いかと思います。また、何度も再放送されているので、見たことがある子ども達もいるでしょう。今も心に残る作品や場面もあるかもしれません。
自分の場合、何度も見て、特に心に残っているのは「ハイジ」と「母をたずねて三千里」です。
「ハイジ」ではクララが「立った」場面が心に残っています。といっても、昔のアニメ特集でよく放送される、ハイジに「クララのばかぁ」と言われたクララが立ち上がる場面ではありません。本当の意味でクララが「立つ」のは、そこではないと思うのです。物語の後半、クララがアルプスの山に来て、ペーターの家に立ち寄る場面があります。そこで、クララは字が読めないペーターのおばあさんに聖書を読んであげます。おばあさんはとても喜び、クララは泣きます。「これまで自分は人に世話をしてもらうばかりで、自分が人のために何かすることはなかったし、何もできないと思っていた。それが初めて、自分も人のためにできることがあるということがわかった」と。ここで、クララは「立つ」ことができたのだと思います。
「三千里」ではこんなエピソードがありました。主人公マルコは母親に会うためにアルゼンチンに来て、人形劇を見せるペッピーノ一座と旅をします。マルコを主人公にした劇をすることになり、仲良しのフィオリーナという女の子がマルコの役を演じます。その劇で、フィオリーナは、マルコになりきって「お母さん」と繰り返し叫び、感極まって泣いてしまいます。実はフィオリーナの母親は家族を捨ててどこかに行ってしまっていて、フィオリーナは長く母親への思いを閉じ込め、「お母さん」と声に出すこともなかったのです。その閉ざされた思いが解き放たれる場面です。高校生の時に初めて見たのですが、人の心を伝えることができるアニメに感動しました。
「世界名作劇場」は大人になってから見ると、また新たな発見があります。
特に「ハイジ」と「三千里」は、自分の中で実写のドラマを含めてもベスト10に入る作品です。