部活動の朝練習を見終えて、職員室に向かおうとすると、小雨そぼ降る中、登校してきて階段を上がっていく3年生の女の子と並んだ。「おはよう」「おはようございます」・・・手にはビニール袋を持っていて、何やら入っている。ふと、中に目をやると、今まさに旬の花「シクラメン」・・・「これ、教室に飾るために持ってきたのですか」と尋ねると、少しはにかんで「はい」・・・
花の少ない冬に咲くシクラメンの可憐さは、進路へチャレンジをしていく時の、不安な気持ちを和らげてくれるかのようだ。そして、インフルエンザの流行りだしたこの時期の、加湿効果。もちろん、教室の広さからすれば、加湿効果は、さほど期待できないが。・・・「クラスで暮らす」・・・卒業までの出校日数が夏休みの日数よりも少なくなった今、クラスを想った、この粋な計らいは、シクラメンの美しさを上回って光を放つ。
授業後、誰もいなくなった教室に咲くシクラメン。シクラメンの花言葉は、「憧れ」「はにかみ」「愛情」「おもいやり」「絆」・・・肩をすぼめるぐらい、寒い、寒い冬だが、心温まる思いに、少し早いが、きっとよい卒業式になるだろうなと思い、シクラメンを後に、教室を出た。
道徳教育総合推進サイト モラルBOX ちょっといい話 1月掲載予定